視界を奪ったのは、愛ゆえの「履修」
健康診断の結果表に刻まれた、無慈悲な数字。 「左0.2、右0.6」 かつて両目1.0以上を誇り、視力検査の表を一番下まで読み切ることを当然としてきた私にとって、それは絶望以外の何物でもありませんでした。 世間はこれを「加齢」や「プレ更年期」という言葉で片付けようとします。ですが、私はあえて、この場を借りて断言させていただきます。
「この視力低下、100%息子のせいです」
始まりは、息子との共通言語を持つための「アニメ鑑賞」でした。 彼が興味を示すジャンルであれば、私自身に全く興味がなかろうと、会話の糸口を作るために深夜までパソコンの前に張り付き、一挙見を強行する。すべては母としての、涙ぐましい「歩み寄り」だったはずなのです。暗闇の中、ブルーライトに焼かれながら物語を履修し続けた日々。その代償が、このぼやけた視界なのです。
沼にハマって「GOD1」まで登り詰めた、剥き出しの闘争心です
さらに、私の視力にトドメを刺したのは、数年前の出来事でした。 色々なことで張り詰めていた私に、息子が「気晴らしにでもなれば」と勧めてきたのが、あろうことか『にゃんこ大戦争』だったのです。
もともと異常なまでの負けず嫌いで、一度火がついたら相手を屈服させるまで止まらない性格。 『にゃんこ』のコラボ報酬に釣られて足を踏み入れた『城とドラゴン(城ドラ)』の世界で、私の内に秘められていた「闘争心」が、制御不能なレベルで爆発してしまいました。 気づけば、最高ランクである「GOD1」の上位クラスにまで登り詰める始末。対戦で負けることが何よりも許せず、画面の向こう側にいる見知らぬ敵を叩き潰すためだけに、スマホを握りしめ、獲物を狙う肉食獣のように画面を凝視し続けた結果が、このC判定です。 ……そりゃあ、物理的に目も焼き切れますよね(笑)。

数年越しに知った「スマホ破壊事件」の衝撃の真相です
視力の低下を嘆きながら、私はふと、息子が高校生だった頃のある事件を思い出しました。 当時、約束を破り、学業を疎かにしてゲームに耽っていた息子に対し、私は怒りに任せて彼のスマホを物理的に「カチ割る」という暴挙に出たのです。
彼が丹精込めてやり込んでいた『パズドラ』のデータもろとも、粉砕された端末。 「約束を破ったお前が悪い!」 そう一蹴し、親としての権威を振りかざしていましたが……今なら、痛いほど分かります。自分が血の滲むような思いで勝ち取ってきたデータが、一瞬で消滅するあの絶望。 「息子よ、本当にすまなかった。母さんはあの時、あまりにやりすぎた」 ……と、数年越しの「心からの謝罪」を彼に伝えたのですが。
私の苛烈な闘争本能を、誰よりも熟知していたのは息子の方でした。 彼はスマホを割られる「その瞬間」を予見し、事前にしっかりとIDとバックアップの準備を整え、新しい端末を手に入れた瞬間にデータを完全復活させていたそうです。 (……チッ、余計な知恵をつけおって) 私の渾身の「物理攻撃」は、彼の周到な「防御魔法」によって、単なる「端末代の損失」へと成り下がっていたのでした。
往生際の悪い、2026年の抵抗です
結局のところ、視力低下の原因を頑なに「加齢」と認めたくない私の、往生際の悪い抵抗に過ぎないのかもしれません。 息子との会話のために目を酷使し、息子に勧められたゲームで頂点を目指し、その過程で視力を失っていく。この「戦いの傷跡」をネタに昇華させなければ、やっていられないのが本音です。
ボヤけた視界で、今日も私はスマホを手に取ります。 「視力が落ちたのはあんたのせいよ。だから、次はもっと手応えのあるネタを持ってきなさい( ´∀`)ハハハ」
そんな理不尽な宣戦布告を胸に、私は今日も、ぼやけた世界を力尽くで睨みつけながら、息子との「終わらない延長戦」を泳ぎ続けていくのです。



コメント